学生時代、読書が好きだったわたしは1冊の本と出会いました。

故 景山民夫氏の旅行エッセイ「旅立てジャック」です。

そこには彼が購入した絵画についてこんなことが書かれていました:

それがこのォ、えーと、なんつったっけ、西洋の絵描きさんのもんなんだけど、実に塩梅が良いんだね。手前の方に馬がいてね。向こうっ方はバアーッとこう草の海でさぁ、そいでもって、その上の青い空に刷毛で掃いたみてえな夕焼けが広がってんだけど、これがただの赤じゃねえんだ、ピンク色……とも違うねえ。縁日のベッコウ飴にあるみてえな、甘ぁい赤なんだよねぇ。

その絵を見て奥さんが「あたし一生に一度でいいから、こういう景色を自分の目で見てみたいわ」と言ったそうです。
その絵を描いた人の名は、ブラジリエ。

無論、ブラジリエが描いた風景は、アイルランドではなかろう。
・・・(中略)・・・
リトグラフに描かれている、ローズ・マダーを薄く伸ばした色の夕焼けは、南仏や北イタリアのそれよりも、アイルランドの透明感のある空気を思い出させた。それは、僕がよく知っている秋の空、例えば九月のマンハッタンの摩天楼の上に広がる空などより、はるかにウェットな懐かしさを感じさせてくれるものだった。

当時はインターネットがない時代でしたからね。今のように簡単に情報が手に入らず、本を読んで想像を膨らませたものでした。旅好きの同氏の本を何冊も夢中になって読みました。

そして、ウェットな夕焼けとうまいビールに心惹かれて、アイルランドに降り立つことになったのです。

 

ちなみに、影響を受けやすいわたしは、同氏の「モンキー岬」という小説を読んでオーストラリアのパースに行きたいと思ったこともありました笑

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